磯見漁
ねり櫂を漕ぎ
箱目眼から
海の底を覗いて
アワビやサザエを見つけると
竿指して獲る 職人芸
今ではこの海
こんな漁は 誰もしなくなった
ウエットスーツで海にもぐる
漁師や レジャーの人ばかり
それでも親父は
磯見漁で 海の底を覗いて
春夏秋冬 海に祈り 海に生きる漁師
カラスが鳴かない日があっても
海へ行かない日はない
働き者の 親父のことを
村のみんなが そう言う
サザエつき アワビ掛け
巧みに道具を操る
磯見漁は 小さい貝は獲らない
海を守る 伝統漁法
夢中になって 昼飯も食わず
海から なかなか帰ってこない
畑で帰りを 待ってるおふくろ
何度も沖を見つめる
カラスが鳴かない日があっても
海へ行かない日はない
海が好きで 海に生きる
海 ひとすじの 道
家族を愛してくれた親父
海に生きた人生
親父の墓は 海が見える丘で
今日も 見守っている
海よ 風よ 空よ 雲よ
今日も この海は 美しい
今日も この海は 美しい
トンネルを抜けると
広がる海の 青さが
目映いほどに 瞳に映る
初めて来た海なのに 風がやさしいね
寄り添ってるこの村の
屋根かわらが 光る
きみと出会った この時を大切に
岬に続く 陽だまりの道で
小さな野菊が 風に揺れている
初めて来た海なのに 風がやさしいね
寄り添ってる花たちの ささやきが聞こえる
きみと出会った この時を大切に
浜に座って 沖を見つめる
飛ぶ白い波 光るきみの笑顔
初めて来た海なのに 風がやさしいね
初めて会ったきみなのに 心あふれる
きみと出会った この時を大切に